休職の診断書をもらうには。頼み方と、断られることがある理由
言い出せないまま、次の診察が終わってしまう人へ。
2026年8月31日
診断書がいる。でも、どう切り出せばいいか分からない。「そこまでじゃない」と言われたら、行き場がなくなる気がする。
そう思って言い出せないまま、診察が終わってしまう。次は2週間後。その2週間も、また同じ状態で働くことになる。
この記事は、精神科・心療内科で休職のための診断書をお願いする場合の話です。
まず、法律にはこう書かれています
意外と知られていないのですが、診断書の交付については医師法に定めがあります。
医師法 第十九条 第二項
診察若しくは検案をし、又は出産に立ち会つた医師は、診断書若しくは検案書又は出生証明書若しくは死産証書の交付の求があつた場合には、正当の事由がなければ、これを拒んではならない。
「拒んではならない」と書かれています。診断書を求めることは、無理なお願いでも、特別な交渉でもありません。制度として想定されている、患者の側の正当な行為です。
これを知っているかどうかで、切り出すときの気持ちがだいぶ変わると思います。頼み込むのではなく、必要だから伝える、という位置に立てるので。
ただし、そのまま押し通す話ではありません
ここは正確に書きます。条文には「正当の事由がなければ」という条件がついています。つまり正当な事由があれば断ることはできます。
そして、もっと大事なことがあります。この規定は「あなたが望む内容の診断書を書かせる」ものではありません。
医師が書けるのは、診察して判断したことです。「3か月の休養を要する」と書くかどうかは、医師の医学的な判断になります。患者が内容を決められるものではないということです。
だから、この条文を根拠に医師に迫るのは筋が違います。使いどころは、あくまで自分の側の心理的なハードルを下げるところまでです。「言ってもいいことなんだ」と思えれば十分です。
頼み方:診断書からではなく、状態から入る
実際にどう切り出すか。「診断書をください」から入らないほうがいいと思っています。
そう言われた医師は、書ける状態かどうかを判断する材料をまだ持っていません。判断の前に結論を求められる形になるので、話が止まりやすい。
順番を逆にします。
言い方の例
「いまの状態で仕事を続けるのがきつくて、休むことを考えています。相談させてください」
これなら、医師は状態を聞いた上で判断できます。その結果として診断書が必要だとなれば、向こうから話が出ます。
そして診察の最初のほうで言ってください。会計間際に切り出すと、時間が足りなくなります。
何を伝えると、判断しやすいか
医師が見ているのは、あなたの「つらさ」だけではなく、それが生活と仕事にどう出ているかです。そこを伝えると具体的になります。
- 仕事で実際に起きていること(ミスが増えた、朝行けない日がある、会議で話が入ってこない)
- 眠れているか(何時に寝て何時に起きるか、途中で目が覚めるか)
- 食欲と体重の変化
- 休日に回復するか(月曜には戻っているか)
- いつからそうなったか
「頑張ればまだ行けます」を先に言わないこと。これは多くの人が無意識にやります。診察室では気を張っていて、実際より元気に振る舞ってしまう。そのまま伝わると、判断もそれに沿ったものになります。
言葉にしづらければ、メモにして持っていく方法があります。渡すだけでいいので、その場で説明できなくても大丈夫です。
すぐに出ないことがあります
初診でその日に診断書が出ないことがあります。断られたのではなく、判断に必要な情報がまだ足りない場合です。
状態の経過を見る必要がある、他の原因(身体の病気など)を確かめる必要がある、といった理由が考えられます。そのときは「どうすれば書ける状態になりますか」と聞いてみてください。次に何をすればいいかが分かります。
それでも納得できない場合、別の医療機関で相談するという選択肢はあります。ただ「書いてくれる医師を探す」ことが目的になると、本来の治療から離れていきます。順番としては、いまの主治医に状態を正確に伝えきったか、を先に確認したほうがいいと思います。
受け取ったあとのこと
診断書が出たら、いくつか実務があります。
- 文書料がかかります。金額は医療機関ごとに異なるので、受付で確認してください。健康保険の対象ではありません。
- 提出先は会社の人事・総務が一般的です。直属の上司に病名まで伝える必要は、必ずしもありません。
- 傷病手当金の申請書は、診断書とは別の書類です。こちらにも医師が記入する欄があるので、休職が決まったら合わせて相談してください。
お金の見通しについては休職と傷病手当金の記事にまとめました。いくら入るかを先に知っておくと、休む決断がしやすくなります。
この記事について。 引用した医師法第十九条第二項は条文そのものですが、この記事は法律上の助言ではありません。 条文の解釈や個別の事案については、専門家にご相談ください。
また、診断書の内容は医師の医学的判断によるものです。 この記事は、それを患者側が指定したり、交付を強く求めたりすることをすすめるものではありません。 目的は、必要な相談を切り出しやすくすることです。
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この記事を書いている人
この記事を書いているのは、ひだまりという匿名SNSを運営している個人です。休むかどうか迷っている人や、通院中の人が使っています。
気持ちをそのまま書ける場所と、アドバイスも説教もせずに聴くAIの聴き手がいます。診察室で言えなかったことを置いていく場所として作りました。
出典
- 医師法(昭和二十三年法律第二百一号)第十九条第二項 — 条文は e-Gov 法令検索の法令データから取得し、原文のまま引用しています。https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000201
なお同条第一項は「診療に従事する医師は、診察治療の求があつた場合には、正当な事由がなければ、これを拒んではならない」と定めています(いわゆる応召義務)。 - 文書料の金額を書いていないのは、健康保険の対象外で医療機関ごとに異なり、断定できないためです。受付で確認するのが確実です。