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頭が回らなくて仕事にならない。まず疑うべきは、能力ではありません

受診したほうがいいのは分かっている。でも明日も出社します。

2026年8月31日

メールを1通書くのに30分かかる。同じ資料を3回読んでも頭に入らない。簡単な判断ができない。ミスと物忘れが急に増えた。会話の内容が入ってこなくて、聞き返すのが怖い。

この状態で検索すると、たいてい「適応障害やうつ病の可能性があります。受診を検討しましょう」と出てきます。それは正しいのだと思います。

ただ、明日も出社することになっている人が多いはずです。受診の予約は取れても来週で、それまでの日々は今日から始まります。

なので、この記事は2つに分けて書きます。今週を乗り切ることと、これが休むサインかどうかを見分けることです。

まず疑うのは、能力ではありません

「頭が回らない」を、自分の能力が落ちたと受け取っている人が多いと思います。前はできたのに、という比較があるので、そうなります。

でも、その症状は国のガイドに、そのまま書かれています。

睡眠不足は、日中の眠気や疲労に加え、頭痛等の心身愁訴の増加、情動不安定、注意力や判断力の低下に関連する作業効率の低下、学業成績の低下等、多岐にわたる影響を及ぼし、事故等の重大な結果を招く場合もある

厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」

「注意力や判断力の低下に関連する作業効率の低下」。いま起きていることの説明として、これ以上ないくらい正確だと思います。しかも「情動不安定」まで並んでいます。理由もなくイライラしたり落ち込んだりしているなら、それも同じ列にあります。

つまり能力の問題ではなく、状態の問題である可能性がまずあるということです。そして状態は、能力と違って変えられます。

ちなみに、これは珍しい状態ではありません。

6時間未満:男性 37.5% / 女性 40.6%

1日の平均睡眠時間が6時間未満の人の割合です(令和元年 国民健康・栄養調査)。男性の30〜50歳代、女性の40〜50歳代では4割以上を占めています。働き盛りの世代ほど足りていない。

さらに令和3年のOECDの調査では、日本人の平均睡眠時間は調査対象33か国の中で最も短いという結果でした。

あなただけがおかしくなったのではなく、その状態の人が周りにも大勢いる、ということです。もちろん「みんなそうだから我慢しろ」という話ではありません。

今週を乗り切る

頭が回らない状態のまま働かなければならないとき、やることは「頑張って集中する」ではありません。それはいま最も効かない方法です。

代わりに、回らない頭でも通る道を作ります。

判断が要る仕事を、朝に寄せる

集中力は一日を通して一定ではありません。考える仕事を午前に、手を動かす仕事を午後に並べ替えるだけで、同じ一日の成果が変わります。

夕方に大事なメールを書かない。返信は翌朝に回す。夜に出した判断は、翌朝見ると変えたくなることが多いからです。

記憶に頼るのをやめる

いま落ちているのは、まさに記憶と注意です。覚えておこうとするほど失敗します。

頼まれたことはその場でメモに落とす。口頭で受けた依頼は、その場で自分宛にメッセージを送っておく。「あとで書く」は、いまのコンディションでは実行されません。

ミスが出る前提で、確認の場所を1つ決める

ミスをゼロにしようと気を張るのは、消耗の割に効きません。それより「送信前に必ず宛先と金額だけ見る」のように、確認する箇所を絞って固定するほうが機能します。

全部を注意深くやろうとすると、注意力が尽きます。いちばん取り返しがつかない場所だけ守る。

運転には、はっきり注意してください

睡眠ガイドは、良い睡眠が「労働災害や自動車事故など眠気や疲労が原因の事故や怪我のリスク低減にも役立つ」と書いています。裏を返せば、いまはそのリスクが上がっている状態です。

通勤や業務で運転する人は、眠気を感じたら止まることを、今週は特に優先してください。ここだけは根性でどうにかする場所ではありません。

言える相手には、言っておく

「最近ちょっと寝られていなくて、確認をお願いすることが増えるかもしれません」くらいでいいと思います。病名を言う必要はありません。

先に言っておくと、ミスが出たときの受け取られ方が変わります。黙って隠しているほうが、結果的にきつくなることが多い。

これは休むサインか、見分ける

ここからが本題かもしれません。睡眠を確保すれば戻るのか、それだけではないのか。その見分け方です。

まず1週間、記録してみる

睡眠ガイドが実際にすすめている方法です。ポイントは「床上時間(床に入っている時間)と睡眠時間(実際に眠っている時間)を区別する」こと。

7時間布団にいても、実際に眠れているのが4時間なら、それは睡眠不足です。「寝ているのに回復しない」の正体が、ここで見えることがあります。

記録した結果、単純に睡眠時間が足りていないだけなら、確保すれば戻る可能性があります。

眠れているのに戻らないなら

十分眠っているのに頭が回らない、休日に寝だめしても月曜には元に戻る。そういう場合は、睡眠の量だけの問題ではないかもしれません。

睡眠ガイドには、こうも書かれています。

うつ病などの精神疾患においても、発症初期から睡眠の問題が出現し、再燃・再発リスクを高めることが知られているとともに、睡眠の問題自体が精神障害の発症リスクを高めるという報告もある

厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」

関係は双方向です。眠れないから調子が落ちることもあれば、調子が落ちているから眠れないこともある。だから「眠れば治る」で片づけずに、続くようなら受診してください、という話になります。

受診の目安として、次のどれかが当てはまるなら、早めがいいと思います。

最後の項目が当てはまるなら、それは順番を飛ばしてすぐ相談してください。深夜でも開いている窓口をまとめてあります。

受診しようと思っても、何を話せばいいか分からなくて予約の電話ができない、という人は多いと思います。それについては別の記事に書きました。

休むことになった場合のお金

受診の結果、休職をすすめられることがあります。そのとき多くの人が最初に心配するのはお金です。

結論だけ先に書くと、休職中の給料は原則出ませんが、健康保険から傷病手当金がおおよそ3分の2出ます。ただし4日目からで、待期の数え方に癖があります。

金額の計算方法と、申請でつまずくところは別の記事にまとめました。休むかどうかを金額で決めようとしている人は、先に実際の数字を見たほうがいいと思います。想像より少ないこともあれば、思ったより何とかなることもあるので。

この記事について。 ここに書いたのは医学的な診断や治療の情報ではありません。「頭が回らない」の原因は睡眠不足だけでなく、 貧血や甲状腺の病気など身体の疾患によることもあります。 自己判断で睡眠不足と決めつけず、続くようなら医療機関で相談してください。

睡眠薬などを処方されている場合、量やタイミングを自己判断で変えないでください。

この記事を書いている人

この記事を書いているのは、ひだまりという匿名SNSを運営している個人です。働きながらしんどい状態にある人が使っています。

気持ちをそのまま書ける場所と、アドバイスも説教もせずに聴くAIの聴き手がいます。うまく言葉にならない状態のまま書き込める場所として作りました。

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